阿波リトリート

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整体的妊婦生活のススメ ②妊娠高血圧症候群の予防

妊娠がわかってから、初めて整体の操法を受けた時

先生には「妊娠高血圧症候群に注意が必要ですね」と言われました。

 

整体には、生まれつきの身体の特徴として

どの器官を中心に活動し、どの器官に不調が出やすいかを

頭、消化器、呼吸器、泌尿器、生殖器の型に分類する

「体癖」という考え方があります。

 

私の場合、不調は泌尿器に出やすいタイプのため

腎機能に関係する妊娠高血圧症候群になりやすい、ということなのです。

ただ、この分類は背骨や体形などの観察によってされるもので

私がこれまでに何か泌尿器系統の病気をしたとか

腎機能の数値に異常があったというわけではありません。

だから高年初産という点を除けば

普通の産婦人科で特に注意を促されるようなことはなかったと思います。

 

妊娠にまつわる病気では

妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群(昔の妊娠中毒症)などがありますが

これらに罹患した人は、出産とともに回復しても

数十年後、加齢とともに再び糖尿病や高血圧になりやすいといわれています。

つまり、妊娠が数十年分の加齢と同じくらい大きな負荷を身体にかけ

そのため老後にかかりやすい病気が早めに出てきている、ともいえるのです。

 

では、身体に負荷がかかった時、自分はどんな病気になりやすいのか?

それを病気にかかる前に知ることができるのが「体癖」というわけです。

 

ここからは、妊娠高血圧症候群の予防として私が行ったことを。

腎臓に負担をかけないためには、身体を冷やさないことが大切です。

そこで、冷えたと思った時にはまず「冷え」の急処の愉気

(冷えの急処は足の甲の中指と薬指の間にあります)

踵から下の足湯も効果的です。

 

また、腎臓に関係する胸椎10番の愉気

そして腎機能を高める運動として

正座して胸の前で手を組み(クリスチャンのお祈りのように)

脇をしめて、左右交互に百回身体をねじる運動を毎朝。

 

どれもとても簡単で数分でできるものですが

その数分で体調がぐっと良くなるものばかり。

妊婦さんに限らずおススメです。

整体的妊婦生活のススメ ①骨盤の開閉を助ける運動

312日に長男晴人が生まれました。

 

移住後の生活が安定してから、と思っているうちに

40歳での妊娠という、かなりの高年初産となってしまいました。

 

30代も後半に入れば、一年ごとに経腟で安産できる確率はどんどん低くなるようで

40代での初産となれば、心して身体を整えていかなければと

妊娠がわかった時には、気の引き締まる思いでした。

 

けれど色々と読んだ出産関連本にも書かれていましたが

出産に関しては年齢差よりも個人差の方が大きく

高年初産でもお産の軽い人はいくらでもいるとのこと。

「年齢差よりも個人差」というのは、整体で色々な方の身体を見ていると

お産に限らず大きくうなずけるものがありました。

 

そして一月一月と妊娠期間が進んでいうちに

整体を学んでいて良かった、身体の整え方を知っていて本当に助かった

と感じることが多々ありました。

こういった知識・技術がもっともっと広がったら

そう感じる人はたくさんいるのでは、と妊娠期間の記録を書いてみることにしました。

 

■骨盤の開閉を助ける運動

妊娠初期から中期くらい、少しずつ骨盤が開いてくる期間に

骨盤周辺や足にかけて、時折痛みが出ることがありました。

そんな時、私が最もよく行った体操は

数多くの整体本を出版されている片山洋次郎先生考案の

「脚上げ脱ストレッチ」と「腰椎四番の微妙運動」というものでした。

(詳しい方法は片山先生の著書『自分にやさしくする整体』等をご覧ください)

 

骨盤に弾力を与え、開閉運動をスムーズにするこの体操を

妊娠期間中ほぼ毎日、日課として行っていました。

また、前述したような骨盤周辺の痛みが出た際には

ほんの5分、この体操に時間を割くだけで、痛みは緩解

妊娠中に何時間も強い痛みを我慢した、という経験は

外出中に痛み出し、すぐに体操ができなかった阿波踊り見物の夜だけでした。

 

子宮収縮時にも、腰椎四番の微妙運動をほんの数呼吸行うだけで

あっという間に子宮の緊張が解けて柔らかくなりました。

便利であるとともに、子宮の収縮を自分で調整できるという

安心感も大きかったのを覚えています。

 

骨盤が痛い時、この体操を知らなかったらどうするのだろう?

子宮収縮って何もしないとどれくらいの時間続くのだろう?

そんなことをよく考えていました。

 

妊娠期間中、多くの女性が普段より一層身体に注意を向けると思います。

そんな時、サプリメントを摂取したり、骨盤の調整グッズを手にする前に

身体そのものの力を引き出す整体という身体との付き合い方を

一人でも多くの方に試してもらえたらと思うのです。

 

手当ての教室@佐那河内 7/25

今日は、佐那河内で手当ての教室を行いました。

 

全身をほぐす簡単な体操のあとで、愉気(手当て)の基本を練習し、「飛び出している背骨」を探す練習を行いました。

 

年齢とともに背骨が丸くなる方は多く見られますが、これは背骨の中の特定の椎骨に負担がかかることに由来します。

同質・同量の作業を行ったとしても、その負担を身体のどの部分で受け止めるかは、人によって異なり、これは背骨に負担のかかる部位の差として表れます。

例えば、風邪といえば毎回咳が激しいというような人は、呼吸器を中心に身体の疲労を受け止めやすく、胸椎でいえば上方に負担がかかります。

また、疲れるとすぐ食が細くなるような人は、消化器に負担がかかりやすく、胸椎の中央部分に、循環器や生殖器に負担がかかりやすい人は、胸椎の下部に負荷がかかりやすい傾向にあるといえます。

 

特定の椎骨が疲労して動きが鈍くなると、その骨は後方に飛び出して落ち込みます。これにつられ、背骨全体が丸まってくることが多いのです。

ですから、逆にその骨の疲労をとることができれば、姿勢の悪化を防ぐことにつながります。

 

うつぶせに寝た背骨を軽くなぞって飛び出した椎骨を探し、お互いに愉気すると、受け手の方からは「とても短い時間が、驚くほど長く感じられた」との感想が出ていました。

必要としている部分に愉気を受けると、それだけ回復が早いということなのだと思います。

 

その後は、猛暑が続く夏バテの身体のために、汗を司る胸椎5番と、心臓の負担を和らげる胸椎4番の愉気、またクーラーとの寒暖差により冷えた身体を温めるため、足と首の冷えの急処の愉気を実習しました。

 

次回の神山での教室は、7月29日(土曜)朝10時~11時半です。

 

自分の身体に整体するときの注意

自分の身体に整体をするときは、絶対に指に力を入れないようにしてください。
たまにものすごい固く強い指で自分の身体をギューギュー押さえている人がいます。
私もかつてはそうでした。
 
しかし整体で使う場所は全て「急処」なのです。
急処を強い力で押さえると、身体は乱れ、鈍ります。そして感じる力が退化します。
例えば冷えの急処(足の三四指間)を強い力で押してみましょう。
その場では確かに開くでしょう。しかし次の日にはより固くなっていることでしょう。
そうではなく指の力を抜いて、気持ちよく感じる(何となく引きつけられる)部位に当ててみましょう。
しばらく当てていると、ゆるむ感覚が中から湧いてきて、自然と急処が開くことでしょう。
さて、強い力で押し開けた場合と、愉気の力で勝手に開いた場合と、
どちらがより本質的に冷えを解消していると思いますか。
 
愉気を学んでいる人は、特に気をつけて力を抜くべきです。
自分にやっていることを、そのまま他人にもやってしまうからです。
力は今までの半分で、その代わり気の感覚に今までの倍、気をつけて自分の身体を触れば、
きっと敏感でしなやかな身体になると思います。

手当ての教室 神山クラス 5/20

今日は、神山整体堂で手当ての教室を行いました。

 

参加者は、日頃からハードワークでやや運動不足気味というお二人。

そこで、念入りに足や背骨、骨盤をほぐす体操を行ったあと、足の裏の真ん中に体重を乗せ、身体を小刻みに上下に揺する気功法を行いました。気持ちよく身体を揺すりながら、普段緊張させている肩や胸、みぞおち、腰の緊張を緩め、自然な姿勢を作っていきます。

「良い姿勢」と言われると、胸を張り腰を反らせた姿勢をイメージしがちですが、腰は反らせすぎても腰痛の原因となります。体重が真っすぐに足裏に乗る負担の少ない姿勢を作ってみると、「すごく前傾しているみたい」と驚かれていました。

その姿勢のまま、立って行う簡単な気功法「立禅」を数分。皆さんの身体がほぐれると、表情や場の空気もよりやわらかくなってくるのが不思議です。

 

手当ての実習では、目の疲れをとる胸椎一番から三番の整圧と、肩こりをほぐす下頸の整圧、自律神経を調整し頭の疲れをとるための頭部とアキレス腱の愉気を行いました。

 

6月の神山整体堂での教室は17日(土)10~11時半を予定しています。

 

手当ての教室 佐那河内クラス 5/18

昨日18日は、佐那河内で三度目の手当ての教室を開きました。

 

手当ての教室では、最初に簡単な体操で全身をほぐし、つづいて身体の自由な要求に身を任せる「活元運動」を行います。

そのあと、掌に気を集めて身体に触れる「愉気」の基本を練習してから、参加者でお互いに季節の手当てを行います。

 

今回は、ご参加の皆さんに腰痛と膝痛が多かったため、簡単にできる腰と膝の手当てを実習しました。

膝の痛みは、多くの場合、身体のねじれと関係しています。そこで身体のねじれ運動を司る腰椎三番と痛い方の膝の裏とに合わせて愉気を行いました。

また、腰椎三番は五つある腰椎の中心で、腰痛にも深く関係するため、この骨を左右に軽く揺らすことで、簡単な腰痛の手当て及び予防とすることもできます。

 

また、手当ての実習中に足がつった方がいらしたため、足がよくつる人のための予防として、腎臓の手当ても行いました。腎臓の手当ては冷えの対策にもなるため、どなたにも有効で、気持ちの良い手当てです。

 

今月の神山でのクラスは、明日20日(土)10~12時です。

 

※先日、愛媛の鹿島でキャンプしてきました。名前の通り鹿がうようよいる島でした。

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気を送るより響き合おう

 先日、我らが大先生・野口晴哉先生のエピソードをある方からうかがいました。

 その方は野口先生の晩年のお弟子さんで、若い頃、余命半年と宣告された末期がんの方をみて「自分の施術ではどうにもならない」と、野口先生にみて頂いたそうなのです。すると野口先生はサッサッと3か所ほど背中を押さえただけで、仰向けにしてお腹にじっと愉気されました。そして癌や余命のことを何も告げていないのに、ぼそっと小さな声で「亡くなるには早いですよ」とおっしゃったそうです。その後、その癌の方は10年以上生きられたとのことです。

 野口先生の神業エピソードはたくさんありますが、直に見た人の話を聞くと改めて感動すると同時に、私たちとの次元の違いに愕然とします。同じ「整体」と言いながら、野口先生のそれは何か根本的に違ったのだと思います。

 その違いは何か。自分なりに日々模索していますが、野口先生の整体は心と身体の響き合いを使っていたのではないかと感じています。普段、私たちでも人と会うと言葉を交わす前から「今日は元気そうだな」「どこか沈んでいるな」「疲れているな」というようなことを何となく感じるものです。そして元気な人といると自分も元気に、暗い人といると暗くなってしまいます。人間の心と身体は互いに響き合うので、他人の状態を鏡のようにパッと映しとってしまうのです。

 しかし私達の鏡はエゴで曇っているのである程度までしか分からないのです。恐らく野口先生の鏡は静まり返った泉のように、濁りなく他人のことを映しとっていたのでしょう。だから観たり触れたりする前にどこが悪いかすぐにわかったのです。そして自分の静まり返った状態を今度は相手に伝えていたに違いありません。だから短時間の整体でガラッと人を変えることができたのだと思います。悟りの境地が師から弟子にパッと伝わることを禅で「感応道交」と言いますが、まさにそんな整体であったのではと思います。

 ではそこに至るにはどうすれば良いか。キーワードは「集中」だと思います。集中して集中して集中しきると、集中している自分を忘れて、見ている自分と見られている相手が一つに重なる瞬間があります。その時に、自分と相手が響き合う、「感応道交」するようです。

 時々ですが、施術の中で、骨に手を当てて集中しきった時に、骨と自分が重なって、その骨がリーンと鳴るような気がすることがあります。そういう時は、施術後、「すごく変わった」と喜んでもらえます。フーフー言って気を「送っている」ような時は、送る自分と受ける相手が分離しているので、苦労の割に効果が今ひとつのようです。野口先生の言う「相手と息一つになる」境地は未だ遥かですが、そこに一歩でも近づけたかなと思うこの頃です。

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