阿波リトリート

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へその下で息できますか

整体の仕事を本格的に始めてから、体調の悪い人と接する機会が増えましたが、最近はその人の呼吸に目が行くようになってきました。体調が本当に悪い人というのは、総じて呼吸が浅いです。逆に不調であっても呼吸をしっかり腹でしている人は安心して見られます。
やはり、下腹部で呼吸する腹式呼吸は健康法の王道です。
しかし実は、本当の腹式呼吸というものは、なかなか難しいのです。
試しに数回、「腹式呼吸」を行ってみてください。
そしてお腹に手を当ててみてください。どこを中心にお腹が膨らんでいますか?
へそから下が中心に膨らんでいればバッチリです。けれど大抵は、へそやへそから上を中心に呼吸していることが多いのです。これでは十分とは言えません。へその下(丹田)を膨らませるというのは、意外と難しいのです。
なぜなら息を下腹部に入れるには、全身の力を抜かなければならないからです。
私達f:id:karadakobo:20160902121858j:plainはたいてい無意識のうちに力んでしまっています。力みで作った姿勢を良い姿勢と勘違いしているのです。特に生活が西洋化して、日本人にとっての良い姿勢の定義が変わってしまいました。胸を張り、腰を反らす西洋的な良い姿勢は、腹式呼吸にとって最悪です。
昔の日本人の写真を見てみると、肩や胸が自然と落ちて、腰はそらさず自然です。こういった姿勢であれば自然と呼吸は下腹部で行われます。
下腹で呼吸をしようとせず、全身の力をゆるめて(肛門だけ軽くしめて)、反らさず丸めず、伸びず縮まず、楽な姿勢を取ってみましょう。赤ちゃんになったつもりで。ひょっとしたら姿勢が悪くなったように感じるかもしれませんが、楽であれば構いません。頭の力を抜いて何も考えず、まずは下腹から息を抜いていきます。十分に抜けば、今度は勝手に息が入ってきます。何呼吸か繰り返していくと、下腹に呼吸が満ちてくるのがわかります。力を抜いたまま、その感触を味わってみましょう。
慣れるまでは少し努力が必要ですが、その効果は絶大です。特に不眠症やノイローゼなど、神経的に参っている人には、絶対におすすめです。

梅雨の手当てで雨滴声を楽しむ

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「雨滴声」という禅語があります。

一口に雨音と言っても、屋根を叩く雨音、草花に降りしきる雨音、軒先から一滴ずつ垂れていく雨音、様々です。色々な雨音に耳を傾けていると、何とも面白く静かな気持ちになります。

しかし身体にとって梅雨というのは実に厄介な季節です。身体の不調を訴えて整体堂を訪れる人も多くなりました。

じめじめしていると洗濯物が乾かないように、身体における水の循環も悪くなるのだと思います。

気圧のせいか湿気のせいか、呼吸がうまくできなくなり、気分も塞ぎやすくなります。

腎臓、肝臓、心臓、肺とさまざまな臓器に負担がかかり、その結果全身がくたびれてきます。そこに梅雨の冷えが加わると足腰頭が痛くなることがあります。

梅雨をうまく乗り切るには、足の指をひっぱり身体をよくねじって、水の循環をよくします。そして肝臓と心臓に手当てをして、血をきれいにします。さらに目に手を当てて疲れを取り、梅干しや味噌汁などで胃腸を整えます。

梅雨の晴れ間には散歩に出ましょう。野口晴哉先生は大股で上を向いて歩くことをお勧めされています。太ももの裏が伸びると呼吸が楽になります。

身体が元気になれば梅雨もまた良しです。「雨滴声」を楽しみつつ日々を送るのも乙なものです。

 

神山の茶葉で紅茶づくり

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梅雨になりました。

肌にまとわりつくような湿気は鬱陶しい限りですが、畑の野菜と草たちは大いに元気で伸び盛りです。

花の季節の春が終わり、近所ではスダチ、柿、キウイ、それにザクロも小さな実をたくさんつけています。

 

少し前になりますが、五月初旬の茶摘みの季節「八十八夜」の頃に、ご近所の農家さんの畑で初めての茶摘み体験をさせていただきました。

つやつやの新芽を、この春伸びた枝の分だけ摘み取ってゆく作業です。

日本茶には茎の部分が大切で、葉だけしごきとってはお茶にならないそうで、古い枝と新しい枝のちょうど境目で折り取るのは、初めてだとなかなか難しい作業でした。

10㎏の茶葉を製茶場に持ち込むと、翌日には2㎏の新茶を受け取ることができます。

ツバキの仲間にはチャドクガなどの毛虫がつきもの、という印象があったのですが、風通しのよい場所で、きちんと刈込など手入れがされていると、無農薬でもほとんど虫は付かないのだそう。

神山町は山がちで風も強いため、お茶に消毒する人はほぼいないのだと聞きました。味も甘みがあり、美味しい緑茶ができます。

畑でも、色々な苗を植えると、育つもの、枯れるもの、様々ですが、適材適所ってあるのだなあ、と思います。

その土地にあった作物を無理なく育てること、その季節に自然に手に入る恵みを感謝していただくこと、それがきっと、人にも自然にも適った農業なのだろうと思います。

 

さて、せっかく生の茶葉が手に入ったので、少量でも手作りのお茶も試してみたいと思い、今回は緑茶よりも手軽な紅茶づくりにトライしてみました。

まずはお茶の葉を12日乾燥させ、少ししんなりしたら手でもんで、葉っぱにたくさんの傷をつけます。これをビニール袋に入れ、室温の高めの場所(今回は日向に停めた車の中)で数時間発酵させ、最後にフライパンで乾煎りして発酵を止めれば出来上がり。

初回は発酵が足りなかったのか、紅茶というより烏龍茶に近い味わいに。そこで2回目は発酵時間をたっぷりとったのですが、発酵が長すぎると逆に香りが飛ぶとのことで、これはほとんど香りのない失敗作に。3度目のお茶はなかなかに素朴で良い香りの紅茶になりました。

 

また、昔から山で仕事をする杣人たちは、山に生えているお茶の葉をたき火で焙り、川の水を沸かしてその場でお茶を出していた、という話を聞き、茶葉を直火で焙るお茶も作ってみました。これはなかなか野趣あふれる、味わい深いお茶でした。

この方法を教えてくださった方によると、この方法なら特に季節も問わず、また茶の木でなくとも、ツバキ、柿などなんでもできるとのことでした。これから色々と試してみたいところです。

 

今はベランダでドクダミの葉を乾燥中。これもお茶になる予定です。

ところで、ドクダミの花が咲けば蛍の季節と言いますが、今月の初旬、白い花の盛りの頃に、町内でも有名な蛍スポットに出かけました。月もなく、ほどよく湿った夜で、木立に囲まれた清流に無数の蛍が乱舞している様は幽玄夢幻。いつまでもこのままで、と願わずにいられない風景でした。

 

「息が浅い」は「吐けていない」

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元気な身体は、下腹部を中心に呼吸しています。

病気になったり心身がくたびれると、息が浅くなり胸や肩で呼吸するようになります。

整体師は、どんな時でも相手の息が深くなるように整体を行います。息が深くなれば、あらゆる異常は改善に向かいます。

だから元気になりたければ、息を深くすればよいのです。

ところが、息を深くするというのはなかなかに難しいのです。

深呼吸しようとすると、大体、息を吸おうとします。特に「下腹部で吸おう」とか「胸いっぱいに吸おう」と、意識して頑張れば頑張るほど、息は浅くなっていきます。

 

息を深くするには、まずは吐くことです。力を入れて吐き切るというよりも、頭や身体の力を抜きながら息を漏らすように吐いていくことです。まるで深い眠りに落ちるようにして息を吐き切ります。すると次の吸う息が自然と深くなり、全身の細胞の隅々にまで活力が行きわたるように感じます。

呼吸が浅いというのは、緊張によって十分に息が吐けていないということだと思います。

息が浅いと感じる人は、難しいことは考えずに、ぜひゆったりと息を吐き切ってみてください。

きっと自然と深い呼吸を体感できると思います。

 

※写真は散歩中にあぜ道で見つけたサボテンの花です。

 

整体は深い眠りのために

最近、朝起きると鳥の歌声がすごい。
ウグイス、ヒヨドリ、ツバメ、ヒバリ・・・
鳥の鳴き声で目を覚ますというのは優雅なようですが、朝っぱらから余りに騒々しいので笑ってしまうこともあります。彼らの寝起きの良さを見習いたいものです。
さて眠りの話です。
整体というのは受けて終わりではなく、眠って初めて完結します。
偏りを正すと、眠りが深くなります。その深い眠りが、身体の芯にあった硬直や疲れを癒すのです。
自分の身体を最終的に整えるのは、整体師ではなく自分自身であるということです。
普段から眠ることを大事にしていれば、健康になること請け合いです。
深い眠りに入るコツは、眠る前にのびやストレッチによって一通り身体を整えておくことです。
体が疲れすぎていても頭が働き過ぎていても深い眠りは訪れません。部分的な緊張や疲れを全身にならすことが大事です。
眠る直前にテレビやスマホを見たり、本を読むことも深い眠りを妨げます。視神経の緊張が身体をゆるめることを妨げます。寝酒も身体をゆるめるようでいて、実際には身体を鈍らせるだけで、逆に硬直を招くこともあります。
幼い頃は朝起きれば元気いっぱいで、その日一日溌剌と動いていたはずです。
それがいつの頃からか、眠っても疲れが取れず、一日をなんとなく億劫に過ごしてしまうようになります。起きながら眠り、眠りながら起きている、そんな毎日では生きてる甲斐がないというもの。
深い眠りこそ、溌剌とした生活のカギとなります。f:id:karadakobo:20160424084103j:plain

さよなら、花粉症

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私はもともとかなりひどい花粉症の持ち主です。整体では排泄を大事にしますので、鼻のかみ過ぎで鼻が真っ赤になっていても、「これも体の欲求だ」と許容してきました。
しかしある人から「整体師が花粉症ってあかんやんけ」と言われ、「言われてみればその通り」ということで数年前から食事制限や気功などの自己治療を試みてきました。
しかし多少ましになっても、ほとんど症状に変化は見られませんでした。今年もいつも通り鼻がつまり、「ああ、今年もダメだった」と思っていました。ところが発症から一週間ほどして謎の偏頭痛に襲われ、半日ほど寝たら、不思議なことに花粉症が8割がた治ってしまったのです。それ以降、酒を飲むと多少ぐずつきますが、最低どちらか片方の鼻は通っていて、前のように終始ぐずつくことはなくなりました。以前の症状から考えたら奇跡のようです。
治った原因を自分で考えてみましたが、3つのことが思い当たりました。
 
・頭の位置を正して、首のひずみを取った。
・座禅で気と血を頭から下ろした。
・水と空気がきれいな徳島に引っ越した。
 
このうちのどれかが効いているのだろうと思います。
来年以降どうなるか分かりませんが、自分で治そうと思えばある程度治るもんだ、と自信を持てました。と、同時に自分の整体の領域が、アレルギーや神経症といった身体の奥の問題に本当の意味で届いた感触があり、ますます整体の世界が面白くなってきました。
来年の春の記事が「おかえり、花粉症」にならないように気をつけます。

福は内、鬼も内・・・これ整体の奥義なり!

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整体の生みの親、野口晴哉先生のお宅では、豆まきの時に「福は内、鬼も内」と言っていたそうです。

これは整体の奥義だと思います。

首のコリを感じた時、人はしゃにむにそれをほぐそうとします。しかし多くの場合、そうすると消えるどころか、ますます強く感じるようになります。コリを嫌がれば嫌がるほど、皮肉なことにコリは強くなっていくのです。

病気や体調不良でも同じことが言えます。

もちろん「苦しい、イヤだ」と思うことは自然の反応なのですが、あまりにそれが強すぎると治癒の働きを逆に乱してしまうのです。

それは病気や不調を嫌がることで、本来は自分の一部であるそれらが、身体の中で敵と化してしまうからです。中に敵がいれば、当然、身体は緊張します。その緊張がますます病気や不調を悪化させるのです。だから病気や不調の時に、あまりにあれこれと手を尽くすことはお勧めしません。

病気や不調の時は、まずそれらをあるがままに受け入れることから始めます。

敵と見なさず、対立せず、友人のように向き合い、理解しましょう。

そうするとある時、ふっと症状がゆるむはずです。

コリであれば敵と思ってギューギューもまず、そっと柔らかく触ってみましょう。

その優しさがコリ君に伝わって、彼もきっとゆるんでしまうはずです。

「福は内、鬼も内」。そんな心でいれば鬼もすっかりニコニコして福を運んでくれるのではないでしょうか。