阿波リトリート

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神山の茶葉で紅茶づくり

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梅雨になりました。

肌にまとわりつくような湿気は鬱陶しい限りですが、畑の野菜と草たちは大いに元気で伸び盛りです。

花の季節の春が終わり、近所ではスダチ、柿、キウイ、それにザクロも小さな実をたくさんつけています。

 

少し前になりますが、五月初旬の茶摘みの季節「八十八夜」の頃に、ご近所の農家さんの畑で初めての茶摘み体験をさせていただきました。

つやつやの新芽を、この春伸びた枝の分だけ摘み取ってゆく作業です。

日本茶には茎の部分が大切で、葉だけしごきとってはお茶にならないそうで、古い枝と新しい枝のちょうど境目で折り取るのは、初めてだとなかなか難しい作業でした。

10㎏の茶葉を製茶場に持ち込むと、翌日には2㎏の新茶を受け取ることができます。

ツバキの仲間にはチャドクガなどの毛虫がつきもの、という印象があったのですが、風通しのよい場所で、きちんと刈込など手入れがされていると、無農薬でもほとんど虫は付かないのだそう。

神山町は山がちで風も強いため、お茶に消毒する人はほぼいないのだと聞きました。味も甘みがあり、美味しい緑茶ができます。

畑でも、色々な苗を植えると、育つもの、枯れるもの、様々ですが、適材適所ってあるのだなあ、と思います。

その土地にあった作物を無理なく育てること、その季節に自然に手に入る恵みを感謝していただくこと、それがきっと、人にも自然にも適った農業なのだろうと思います。

 

さて、せっかく生の茶葉が手に入ったので、少量でも手作りのお茶も試してみたいと思い、今回は緑茶よりも手軽な紅茶づくりにトライしてみました。

まずはお茶の葉を12日乾燥させ、少ししんなりしたら手でもんで、葉っぱにたくさんの傷をつけます。これをビニール袋に入れ、室温の高めの場所(今回は日向に停めた車の中)で数時間発酵させ、最後にフライパンで乾煎りして発酵を止めれば出来上がり。

初回は発酵が足りなかったのか、紅茶というより烏龍茶に近い味わいに。そこで2回目は発酵時間をたっぷりとったのですが、発酵が長すぎると逆に香りが飛ぶとのことで、これはほとんど香りのない失敗作に。3度目のお茶はなかなかに素朴で良い香りの紅茶になりました。

 

また、昔から山で仕事をする杣人たちは、山に生えているお茶の葉をたき火で焙り、川の水を沸かしてその場でお茶を出していた、という話を聞き、茶葉を直火で焙るお茶も作ってみました。これはなかなか野趣あふれる、味わい深いお茶でした。

この方法を教えてくださった方によると、この方法なら特に季節も問わず、また茶の木でなくとも、ツバキ、柿などなんでもできるとのことでした。これから色々と試してみたいところです。

 

今はベランダでドクダミの葉を乾燥中。これもお茶になる予定です。

ところで、ドクダミの花が咲けば蛍の季節と言いますが、今月の初旬、白い花の盛りの頃に、町内でも有名な蛍スポットに出かけました。月もなく、ほどよく湿った夜で、木立に囲まれた清流に無数の蛍が乱舞している様は幽玄夢幻。いつまでもこのままで、と願わずにいられない風景でした。

 

「息が浅い」は「吐けていない」

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元気な身体は、下腹部を中心に呼吸しています。

病気になったり心身がくたびれると、息が浅くなり胸や肩で呼吸するようになります。

整体師は、どんな時でも相手の息が深くなるように整体を行います。息が深くなれば、あらゆる異常は改善に向かいます。

だから元気になりたければ、息を深くすればよいのです。

ところが、息を深くするというのはなかなかに難しいのです。

深呼吸しようとすると、大体、息を吸おうとします。特に「下腹部で吸おう」とか「胸いっぱいに吸おう」と、意識して頑張れば頑張るほど、息は浅くなっていきます。

 

息を深くするには、まずは吐くことです。力を入れて吐き切るというよりも、頭や身体の力を抜きながら息を漏らすように吐いていくことです。まるで深い眠りに落ちるようにして息を吐き切ります。すると次の吸う息が自然と深くなり、全身の細胞の隅々にまで活力が行きわたるように感じます。

呼吸が浅いというのは、緊張によって十分に息が吐けていないということだと思います。

息が浅いと感じる人は、難しいことは考えずに、ぜひゆったりと息を吐き切ってみてください。

きっと自然と深い呼吸を体感できると思います。

 

※写真は散歩中にあぜ道で見つけたサボテンの花です。

 

整体は深い眠りのために

最近、朝起きると鳥の歌声がすごい。
ウグイス、ヒヨドリ、ツバメ、ヒバリ・・・
鳥の鳴き声で目を覚ますというのは優雅なようですが、朝っぱらから余りに騒々しいので笑ってしまうこともあります。彼らの寝起きの良さを見習いたいものです。
さて眠りの話です。
整体というのは受けて終わりではなく、眠って初めて完結します。
偏りを正すと、眠りが深くなります。その深い眠りが、身体の芯にあった硬直や疲れを癒すのです。
自分の身体を最終的に整えるのは、整体師ではなく自分自身であるということです。
普段から眠ることを大事にしていれば、健康になること請け合いです。
深い眠りに入るコツは、眠る前にのびやストレッチによって一通り身体を整えておくことです。
体が疲れすぎていても頭が働き過ぎていても深い眠りは訪れません。部分的な緊張や疲れを全身にならすことが大事です。
眠る直前にテレビやスマホを見たり、本を読むことも深い眠りを妨げます。視神経の緊張が身体をゆるめることを妨げます。寝酒も身体をゆるめるようでいて、実際には身体を鈍らせるだけで、逆に硬直を招くこともあります。
幼い頃は朝起きれば元気いっぱいで、その日一日溌剌と動いていたはずです。
それがいつの頃からか、眠っても疲れが取れず、一日をなんとなく億劫に過ごしてしまうようになります。起きながら眠り、眠りながら起きている、そんな毎日では生きてる甲斐がないというもの。
深い眠りこそ、溌剌とした生活のカギとなります。f:id:karadakobo:20160424084103j:plain

さよなら、花粉症

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私はもともとかなりひどい花粉症の持ち主です。整体では排泄を大事にしますので、鼻のかみ過ぎで鼻が真っ赤になっていても、「これも体の欲求だ」と許容してきました。
しかしある人から「整体師が花粉症ってあかんやんけ」と言われ、「言われてみればその通り」ということで数年前から食事制限や気功などの自己治療を試みてきました。
しかし多少ましになっても、ほとんど症状に変化は見られませんでした。今年もいつも通り鼻がつまり、「ああ、今年もダメだった」と思っていました。ところが発症から一週間ほどして謎の偏頭痛に襲われ、半日ほど寝たら、不思議なことに花粉症が8割がた治ってしまったのです。それ以降、酒を飲むと多少ぐずつきますが、最低どちらか片方の鼻は通っていて、前のように終始ぐずつくことはなくなりました。以前の症状から考えたら奇跡のようです。
治った原因を自分で考えてみましたが、3つのことが思い当たりました。
 
・頭の位置を正して、首のひずみを取った。
・座禅で気と血を頭から下ろした。
・水と空気がきれいな徳島に引っ越した。
 
このうちのどれかが効いているのだろうと思います。
来年以降どうなるか分かりませんが、自分で治そうと思えばある程度治るもんだ、と自信を持てました。と、同時に自分の整体の領域が、アレルギーや神経症といった身体の奥の問題に本当の意味で届いた感触があり、ますます整体の世界が面白くなってきました。
来年の春の記事が「おかえり、花粉症」にならないように気をつけます。

福は内、鬼も内・・・これ整体の奥義なり!

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整体の生みの親、野口晴哉先生のお宅では、豆まきの時に「福は内、鬼も内」と言っていたそうです。

これは整体の奥義だと思います。

首のコリを感じた時、人はしゃにむにそれをほぐそうとします。しかし多くの場合、そうすると消えるどころか、ますます強く感じるようになります。コリを嫌がれば嫌がるほど、皮肉なことにコリは強くなっていくのです。

病気や体調不良でも同じことが言えます。

もちろん「苦しい、イヤだ」と思うことは自然の反応なのですが、あまりにそれが強すぎると治癒の働きを逆に乱してしまうのです。

それは病気や不調を嫌がることで、本来は自分の一部であるそれらが、身体の中で敵と化してしまうからです。中に敵がいれば、当然、身体は緊張します。その緊張がますます病気や不調を悪化させるのです。だから病気や不調の時に、あまりにあれこれと手を尽くすことはお勧めしません。

病気や不調の時は、まずそれらをあるがままに受け入れることから始めます。

敵と見なさず、対立せず、友人のように向き合い、理解しましょう。

そうするとある時、ふっと症状がゆるむはずです。

コリであれば敵と思ってギューギューもまず、そっと柔らかく触ってみましょう。

その優しさがコリ君に伝わって、彼もきっとゆるんでしまうはずです。

「福は内、鬼も内」。そんな心でいれば鬼もすっかりニコニコして福を運んでくれるのではないでしょうか。

 

干し柿づくりと「こうじの木」

 

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12月から年始にかけては乾いた空気の晴れた日が多かったので、干し柿干し芋、干し椎茸に切り干し大根と、乾物づくりにいそしみました。

 

中でも今年がんばったのは干し柿づくりです。

干し柿用の、それは大きな渋柿を40個、皮を剥き、熱湯で消毒して、シュロの葉をさいたひもの両端に1つずつ結んで竿をにかけます。

 

このシュロひもが、使ってみるとなかなかに良いものでした。

干し柿にはシュロひもが昔からの決まりごとのようで、市場などでは渋柿におまけにつけているお店もあり、私たちが借りている畑にも小さなシュロの木があったので、今回試みに使ってみました。

渋柿が相当に大きいので、強度は大丈夫かな? と不安に思いつつ結んでみると、意外にもとても結びやすく、非常に強靭なのです。

また、11月にビニールひもで干した際には、暖冬の影響もあり、ひもの端が少しでも実に触れてしまうと、その部分の乾燥が遅く、そこから黴が生えてしまいました。

ところがシュロひもの場合、実と同じように乾燥していくので実に触れていても水分がたまらず、そして意外にも乾燥しても弱くなりません。しかも干しあがったらへたごと切り落として畑に返せるので、可燃、不燃とごみを仕分ける手間もないのです。

う~ん素晴らしい! と、一人でうなってしまいました。

 

さて、干した渋柿は2週間ほどで、オレンジ色でとろとろの「あんぽ柿」の状態になります。

この時点でもちろん美味しいのですが、さらに干すと茶色くしっかりと実のしまった「干し柿」らしい感じになります。濃縮した甘みは上質な和菓子のようで、今回はそれを目指すことに。

ところが、渋柿がとろっと柔らかなあんぽ柿になった頃、なんと小鳥たちに見つかってしまったのです。ベランダで「チイチイ」と鳥たちがやけに騒がしいと思ったら、そこには食べ散らかされた柿の残骸が…。f:id:karadakobo:20160201110616j:plain

それはシュロひもで竿に干したものとは別に、取り込みやすいようハンガーを改造して3段のはしご状に干したものでした。考えてみればはしご型だと、下の段の棒が、上の段の柿を食べるためのちょうどよい留まり木になってしまうのです。

これは当たり前だと、慌ててこちらもシュロひもで結び直し、竿にかけてみたのですが…美味しい味を覚えてしまった鳥たちは知恵を絞り、竿の上からひもを手繰り寄せて柿をつついたようでした。

というわけで、もう少し干したかったけれど、今年の干し柿づくりはここで終了。

 

ところで、いつもは微笑ましい小鳥のさえずりを苦々しい気持ちで聞き、なんとか囲ってもう少し干す方法はないかしら…と思案していたとき、ふと学校で習った『徒然草』が頭を過りました。

「こうじの木」という段です。

 

人里離れた山奥に侘びた庵を結び、趣深く暮らしている家を見つけ、兼好法師は「かくてもあられけるよ(このようにも暮らせるのだなあ)」と感嘆するのですが、その家に厳重に囲われた柑子(みかん)の木があるのを見て、「この木なからましかば(この木さえなければ)」とがっかりする物語です。

盗りに来る人すらいない山奥で、それでもみかん泥棒を警戒して厳重に囲っているあさましさ…。

でもでも、はたして本当にそうだったのでしょうか?

 

山奥に暮らす人が、たまの旅人にいくつかのみかんを食べられることを嫌がるでしょうか? 人懐かしい山暮らしなら、むしろ喜んであげたいくらいが普通なのでは? では囲いは何のために? それはなんといっても猿、鳥、鹿、猪です!

まったくグルメな彼らは、果物を大事に食べることを知りません。美味しい所をちょっとかじっては次の実へ…食べるならせめて大事に食べて! と怒りたくもなるものです。囲いたくもなるものです。山暮らしの悩み事は今も昔も変わらないはず。だからきっとあのみかんの木は…と大昔の誰かさんに心を通わせてみるのでした。

※一番上の写真は、神山に大雪が降った時のものです。まるで雪国のようで、美しかったです。

 

 

風邪でデトックス

f:id:karadakobo:20151213213800j:plain風邪というのは、世間的には悪者あつかいされがちです。風邪を引けば、すぐに風邪薬を飲むというのが一般的な日本人の習慣となりました。しかし風邪は、身体が引きたくて引くものなのです。私たちは日常生活を送る中で、身体に様々な負担をかけます。疲労、食べ過ぎ、呑み過ぎ、冷え、精神的ストレス・・・。風邪は、それらをリセットするためのものなのです。
 風邪を引くと、文句なくしんどく、苦しくなります。すると普段通りの行動が難しくなり、休養せざるを得なくなります。風邪は身体からの「休め」の合図です。
 ところが、これを風邪薬などで抑え込んでしまうとリセットすべき身体の負担が身体に残るだけでなく、表面から奥に引っ込み凝縮します。そしてより重たい病気の原因となるのです。だから野口整体では風邪を悪者扱いせず、むしろ風邪を通して元気になることを目指します。

 とは言っても、とにかく風邪を引けば元気になるというものでもありません。風邪で元気になるには、やはり風邪の身体を丁寧に扱う必要があります。
 風邪で大事なことはまず、熱と汗を出し切って水分を摂ることです。熱は細菌を殺し、免疫力を高めます。普段冷えている人は、熱を出すことでそれを緩和することもできます。熱が出たからといって簡単に解熱剤を飲むのはあまりにも安易です。40度以下の熱は積極的に出しましょう。熱が出れば、汗をかきます。汗をかけば血中の老廃物が出ていきます。疲れも抜けます。汗をかいたら水分を摂りましょう。古い水が汗で抜けて、新鮮な水が体中を潤していきます。
 次に大事なことは、頭をゆるめることです。特に目を使わないようにします。暇だからといってスマホやテレビを見過ぎては、風邪の後すっきりすることはないでしょう。そもそも風邪で頭痛があれば、
頭がくらくらして何かを見たり考えたりすることが難しいはずです。そういうときは素直に頭を朦朧とさせておいた方がよいのです。するとたまっていた頭の疲れが抜けていきます。
 こうしてきちんと風邪を経過すると、身体が生まれ変わったことに気づきます。頭と体がすっきりします。私がいつも驚くのは、風邪を引いた後自分の唇を触ると、まるで何かを塗っているみたいにツヤツヤと潤っていることです。

 ところで最近、デトックスということで岩盤浴やら断食やらが流行っています。スマホやパソコンから離れる「情報断食」ということまで言われだしました。これらが実は風邪の症状に対応していることにお気づきですか。熱と汗が出る=岩盤浴、食欲が減退する=断食、頭を使えなくなる=情報断食。風邪というのは、まさに自然のデトックスなのです。風邪を風邪薬で抑え込みながら、デトックスにお金をかけるとは、なんとも馬鹿げたことに思えます。ぜひ風邪というものとうまく付き合って、身体を磨いて頂ければと思います。

 最後に具体的な手当て法を記しておきます。

①足湯:これは鉄板中の鉄板の手当て法です。桶にお湯をためて、くるぶしまでお湯につけます。6分して、赤くなってない、冷えて感じる方の足をさらに2分。するとカーッと熱が出てきます。そのあと、冷えの急所である足の中指と薬指の溝を広げておくとさらに効果があります。
②後頭部の温湿布:これは微熱が続いたりして、熱がうまく出きらないときに使います。熱い蒸しタオルを後頭部の膨らみの下あたりに当てます。うまくいくと熱と汗がどっと出て、その後、身体がすっきりします。汗が出たら衣服を替えて汗を冷やさないことが肝要です。
③頭の穴への刺激:頭痛がひどいときに使います。頭には皮膚の下にいくつか穴が開いています。敏感な人なら縦横に走る溝を見つけるかもしれません。穴や溝を押えることで頭の緊張がとれて、頭痛が和らぐことがあります。